市民からの政策提言 第2弾

『ひと中心の都心』

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2015年の
札幌


この提言の
基礎



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●1999年…提言書『LRTが走る2015年の札幌』
 LRTさっぽろでは、1999年に提言書第一弾『LRTが走る2015年の札幌』を発表しました。
 ここでは、札幌の将来的な都市像(穏やかに縮む、実験都市)や都市構造(イクラ=筋子システム、縁側構造)について構想し、これを具体化する起爆剤としてLRT(新型高速路面電車)の導入について提案しています。
 特にLRTについては、導入に関する具体案・可能性について、多面的にスタディーしています。
1999年
【提言書1】
 新しい視点の都市論とLRTを起爆剤にしたまちづくりについて提案

●2001年…札幌市「都心交通ビジョン」
 私たちの提言活動の甲斐もあって、2001年5月には、札幌市から「都心交通ビジョン」が市民に提案されるまでになりました。「都心交通ビジョン」は、歩行者中心の都心を目指す革新的な内容を含み、私たちの考えと基本的方向性が一致していることから、大切に守り育てたいと考えています。
 しかし、その内容は公共交通やモール(歩行者空間)の考え方について、まだ不十分な点も多くあります。魅力的な都心が実現し街が賑わうためには,歩行環境の確保だけではなく、もう一歩進めて物理的・経済的にも障害のない公共交通の革新や、ビジョンと連動した都心再生施策など、もっと多くの市民の知恵と努力が必要です。
2001年
【都心交通ビジョン】   札幌市が市民に提案、歩行者主体を打ち出した画期的な内容
●2002年…都心+トランジットモール
 そこでLRTさっぽろでは、市民議論のたたき台として、特に都心に焦点を当てた提言書第二弾『ひと中心の都心』を緊急出版することにしました。
 ここでは、都心の活性化策として【空間】と【交通】との共同作業を提案しています。その中心となるのが、トランジットモールとLRTです。



2001年
【提言書2】
 都心交通ビジョンに対する市民からの提案、提言書1の続編(都心交通の詳述版)として作成

○トランジットモール
歩行者と公共交通機関だけが通行できる通り。自動車の乗り入れを制限することによって高質な都市空間が実現でき、都市のイメージを高めたり、快適な歩行環境の形成に貢献します。歩行者天国と違って、公共交通(欧州ではほとんどがLRT)とセットされることによって、移動範囲が飛躍的に広がります。



ひとが主役のまち

札幌の未来が見えてくる





  札幌の未来を拓く全体構造
 
街の中心は、仕事や買い物だけの空間ではありません。広い道があり、車が走っていれば良いのでもありません。
固定的な考え方を捨てて、新しい都心の姿を考えてみましょう。人が集まる楽しい街にするためには、街全体を一体的にデザインすることが重要です。
ここでは、世界各地の様々な街を写真で紹介しながら、対話形式で都心の姿や役割について検討し、皆さんに新しい「ひとが主役のまち」についてイメージして頂きます。




まちの未来2015年

私たちからの提案





●都市のリスク
 札幌の将来には、様々なリスクが懸念されます。経済の弱体化、人口減少と高齢化、過去の行政投資の負担…。今はまだ特別大きな問題が表面化している訳ではありません。
 しかし、このままチャレンジを回避していては、都市の収益減少と費用増加によって、衰退のスパイラルに陥る危険が潜んでいます。全体の成功を考え、今から未来に投資すべきです。

●都心に求められるもの
 表面化している課題への対応(=都心内の交通)だけではなく、潜在的不満足(=歩く、環境・空間、都心居住、ユニバーサルデザイン)への対応、潜在的満足(=観光・文化)の顕在化に向けた、戦略的な取り組みが不可欠です。
 これらを一挙に実現する施策として、トランジットモール(自動車を排除した人と公共交通の空間)があります。投資規模が小さく多面的な効果が見込まれるトランジットモールは、札幌都心の次の一手として、極めて魅力的な選択肢です。

●都心で実現したい…目標 
1)空間の役割
 今後の都市発展に不可欠な“知”を生み出す場として貢献できる都心空間を創造
2)交通の役割
 都心の顕在化していない価値を表面化するため都心を広く使えるような公共交通と徒歩を主体とした交通基盤を整備

●知を生み出す場…都心空間
 7つのコンセプトによって、目標とする都心空間を創造します。
 1)カフェシティ
 2)ミュージアムシティ
 3)マーケットシティ
 4)グルメシティ
 5)ドラマシティ
 6)コンビニシティ
 7)チャレンジシティ


20.5KmのLRTネットワークとトランジットモール

●都心を広く使う…都心交通 
【道路】
 トランジットモールを、駅前通・大通・創成川通の3カ所・延べ4,650mに設定し、政策目標である「ひと中心の空間」「公共交通の革新」の達成を図ります。他の道路は、業務交通などへの対応に配慮しながら機能別に再編成します。
【公共交通】
 都心内移動の基幹交通として、既設市電路線を一部で活用しながら、トランジットモールを中心に、総延長20.5kmのLRTネットワークを整備します。これによって、都心内のどの地点からも240m(=3分以内)にLRT電停に到達できるようになるほか、全市的な公共交通システム変革(運賃・運営形態など)の起爆効果が期待できます。
 LRT整備の投資額は850億円(≒地下鉄の3km分)。このほか、バスやタクシーなどへの対策も同時に実施します。
【交通と都市の一体整備】
 これら公共交通の整備によって、今まで交通環境が悪く低位利用に留まっていた都心縁辺部でも、交通と都市空間の一体的な整備(TOD)が可能となり、新たな経済・市民活動の取り組みが活性化することが期待できます。



未来を切り開く

提案を実現するための様々な視点


 


●自動車交通への影響
 トランジットモールを横断できる自動車台数は15,400台/時に低下し、現在交通量21,700台/時のうち、6,000台/時程度が溢れます。都心に目的がない通過交通9,900台/時が排除されれば解決しますが、選択的な排除は困難であるため、公共交通の充実とセットにした、多様な都心への自動車流入抑制策が不可欠です。
 駐車場は、都心部駐車場容量の約3%である1,260台分を追加すれば済みます。
●現行
 道路の大半を自動車が占め、単なる移動だけの空間となっいる
 引き続き調査・分析すべき項目はたくさん残っており、社会実験を重ねながら対応する必要があります。この場合に、数ヶ月程度の短期間での実験では正確な効果を測定することができません。行動習慣が社会実験に慣れるまでの長期にわたった観察が不可欠です。

●歩く権利を実現するために
 トランジットモールの導入によって、自動車で来訪する権利の侵害という点では問題になりますが、歩く権利の回復という視点は今まで指摘されてきませんでした。
 社会が成熟した今日、歩く権利を主張する価値と必要性は大いにあると考えます。その実現にあたっては、市民合意が不可欠です。
●フルモール
空間は快適だが、歩行移動距離には限界があるため賑わいにムラが発生し旭川買物公園状態に陥る恐れがある
●ヤン・ゲールに学ぶ…
     屋外空間を楽しむ街

 デンマークのヤン・ゲール教授は、コペンハーゲンでの自身の観察とまちづくりへの応用を生かして、ユニークな提案をしています。
 義務的な活動ではなく、ふれ合いや出来事など他の人々が存在することを前提とした社会的活動を促進するような、質の高い屋外空間の思想と作法について紹介します。
●トランジットモール
歩行と移動のための交通(LRT)がセットで展開し、賑わい・移動・高質空間が同時に達成できる